ウィーン制作日誌(2021年から継続中): 「資本主義が終わるまで」 2026年1月22日 ウィーンで開催予定だった現代美術のアートフェアがこの数日でいくつもが中止発表した。それぞれの主催者の言い方は違うのだけども、どちらも経済的な問題だと報じられている。どこか歯切れの悪い言い訳のようなプレスリリースが発表されていて不穏な感じだ。あるアートフェアは会場賃料未払いで訴訟してるだとか、混乱を極めていて、アートフェア再編だとかいうのだが、どうなるのか全く不透明なまま。僕も1つのフェアのために準備していたので、ギャラリストから中止プレスリリースを見せられた時には残念だと思ったが、こうなってしまえば仕方がない。トランプ大統領が国際秩序を崩壊させているなか、こういう経済的な問題によってエコノミーが崩れていくのを見るのも気持ちがいいものではないし、アーティストのような不安定な職業がいかに容易く影響を受けうるものなのかを実感させられる。日本に住んでいた時よりは、すくなくとも経済的に「まし」になったとはいえ、欧州でもアーティストがどれだけ脆弱な経済基盤のうえで生きているのかということを知らされる。強いものだけ、能力あるものだけが生き残ることができるという能力主義のような世界は一見合理的で正しいようにも見えるけれど(資本主義が人類の欲望を都合よく掻き立て、その先に見える微かな希望を元に駆動させているとはいえ、その希望は本当にあるのだろうか)、我々人類は生まれてから死ぬまでの時間を平等に過ごし、それぞれが出身や能力や成果によってその生死や幸福が阻害されてしまうのは、間違っているのではないか。先は相当長そうだ。