「新国立競技場の周縁を彷徨う」
出演=丹羽良徳(アーティスト)、藤田直哉(文芸評論家)
2017年11月25日[土]21:00~22:00(集合:都営大江戸線「国立競技場」A2出口外に21:00)
会 場:新国立競技場周辺
1980年モスクワオリンピックでは、ソ連のアフガニスタン侵攻に講義するためアメリカ主導により日本を含む多くの国家が集団ボイコット1を行い「政治とスポーツ」の関係を問われた大会として記憶されている。さらにその報復として東欧諸国は1984年のロサンザルスオリンピックをボイコットするに至る。当時、オリンピック開催は開催地に多額の赤字を残すことから国際的に不人気であり、また税金投入により政治介入を招いてきたことから、ロサンゼル大会では税金を一切投入せずに行われたが、結果的にスポンサー争い、テレビ放映権争いを含むなど現在の商業主義オリンピックの原型ともなった。丹羽良徳の新作「東京オリンピックで日本人選手全員がボイコットする」(~2020)2という架空の映像作品プロジェクトにかけて、新国立競技場建設予定地3の周辺公共空間を参加者とともに震災復興、芸術祭、そしてオリンピックなど題材として、大型公共事業や公共空間のあり方を話題にしながらもぞもぞ歩く1時間。
*1)集団ボイコット
ボイコットを決定したのは、日本を含め韓国、西ドイツ、中国、イランなど。なおウィキペディアの「1980年モスクワオリンピック」の記事によれば、日本政府のボイコット決定の前はオリンピック参加確定を疑わない疑わない空気が醸成されており、協賛企業CMやプレベントが各媒体で行われたようである。
*2) 東京オリンピックで日本人選手全員がボイコットする
2017ーOngoing, シングルチャンネルのビデオ
2013年国際オリンピック委員会総会によって、56年ぶりに東京でオリンピクが開催されることが正式に決定した。戦後64年の東京オリンピックに重ね日本が歩んだ経済成長に重ね経済界からは熱烈に歓迎された。しかしながら、歴史上の国家的危機や福島の災害による放射能汚染、国際化における移民問題などの経験を経てもはや日本はかつてのような状況ではないことは明らかであった。このプロジェクトでは、2020年東京オリンピックを舞台として各国のオリンピック選手、監督へのインタビューや1964年に開催された東京オリンピック当時の記録映像、安倍首相の政治演説などオリンピックめぐる様々な立場や時代が異なる言説をつなぎ合わせ、2020年東京オリンピックの全種目において、誰もが実際には起こるとは思えない日本人選手のボイコットという設定の未来のフィクションドキュメンタリー映像である。すぐ迫り来る明確な未来=4年に一度という近代オリンピック制度を下敷きにし、映像全体のストーリーと、登場人物の発言内容が相違する状況を創作することによって、我々が予測または欲望している未来像はどのような思想と結びつき、どこから生まれるか、それは自分が希望する未来がそのまま予測する未来像として反映されるものなのか考える。「オリンピックシリーズ」の第一作目。
*3)新国立競技場建設予定地
1958年に開場した国立霞ヶ丘陸上競技場を全面建替工事し、建設予定。